立川談志自伝 狂気ありて

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内容紹介

初めて明かす父の記憶、
敗戦に向けられた幼くも容赦のない視線、
落語への目覚め、
妻のこと、2人の子のこと、
そして忘れることのできない芸人たちとの会話、
大好きだった旅の想い出。

研ぎ澄まされた感性がゆえの苦悩、
崩壊していく肉体と精神。
それでも語り続けようとした希代の天才落語家、
最後の書き下ろし!

<目次>

第一章 負けず嫌いで皮肉なガキだった
     父と母、空襲、疎開、敗戦
第二章 現在の職業になる如く
     ラジオと映画、寄席、入門
第三章 いわゆる波乱万丈の人生だ
     家族、家、仕事、交遊録
第四章 アフリカ、もう行けまい
     旅、映画、外国ジョーク
第五章 エゴの塊のような気狂いが老いた
     がん、声、未完
年 表 立川談志 七十五年の軌跡

<本文より抜粋>

ガキの頃のこと、疎開のこと、戦後のこと、落語家を志望し、売れっ子となり、世間との喧嘩。そしてこないだの病気入院。あっという間のこの時間、一体何だろう。

バアさん喘息で肺炎なって死んじゃった……と唄い、怒られた。つまりワルガキ、〝三つ子の魂〟の型である。

父親は無口な人だった。本を読んでいたという記憶もないし、ラジオを聞いていたという記憶もないし、映画の話をするわけでもない、釣りをするわけでもない。酒も飲まないし、遊びに出掛けるわけでもない。父親の趣味は何だったのか、何をして生きていたのか。

その頃の想い出は、一つ一つ鮮明に覚えている。

で、一口にいうと、このガキは負けず嫌いで皮肉なガキだった。

人間誰しもそうであろうと思うが、当然くる人生の終焉に対する己が身の「整理」、これであろう。

想い出という名の未練を書き残しておく。