内容紹介
「新自由主義」という、摩訶不思議な怪物の正体とは?
――1匹の妖怪が世界を徘徊している、「新自由主義」という名の妖怪が
あるときはグローバル資本主義の先兵、またあるときは自由放任主義と格差拡大の犯人……だが、その実体は?
見るものによってその姿を変える「新自由主義」と呼ばれるイデオロギーの正体を、ケインズ経済学/新古典派経済学/マルクス主義経済学の歴史と、戦後日本の経済思想史を丁寧にひもときながら突き止める!
「私自身としては、「新自由主義(Neo Liberalism)」という言葉を使うことにためらいがありました。どういうことかというと、この言葉多分に実体がない――具体的にまとまったある理論とかイデオロギーとか、特定の政治的・道徳的立場を指す言葉というよりは、せいぜいある種の「気分」を指すもの、せいぜいのところ批判者が自分の気に入らないものにつける「レッテル」であって「ブロッケンのお化け」以上のものではないのではないか、という疑いがどうしても抜けなかったからです」(本書より)
【目次】
第1章 マルクス主義の亡霊
「新自由主義」は社会主義前夜なのか?
資本主義に「外部」は必要なのか?
国家独占資本主義としての福祉国家の危機?
第2章 ケインズ復興から見えるもう一つの経済史
ケインズ主義とは何か
発展段階論を超えて、経済史理解の転換へ
第3章 「保守本流」思想としての産業社会論
戦後保守主義と社会民主主義の屋台骨としての産業社会論
村上泰亮の蹉跌
産業社会論の衰退とその盲点
保守主義思想の屋台骨の喪失と「新自由主義」の台頭
第4章 冷戦崩壊後の世界秩序と「新自由主義」という妖怪
冷戦崩壊後の世界秩序
空白の中の「新自由主義」
エピローグ 対立の地平の外に出る
(四六判並製/368頁)