落語―哲学

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内容紹介

笑える哲学書にして目眩へと誘う落語論、ここに誕生!
「粗忽長屋」は〈私とは何か〉という謎をめぐる物語であり、「堀の内」は〈笑いの本質〉についての深遠な哲学書。
そして「芝浜」には〈わたしたちの世界は夢ではないのか〉というテーマが秘められていた。

水道橋博士推薦!
定説「落語とは業の肯定である」ことを否定する――。
「哲学」の窓から「落語」を覗き、「落語」から「哲学」を想起する。
哲学者と落語家が、その職業的な「業」に於いて通底する噺の書。――水道橋博士

【目次】
 「二つの世界」と落語:はじめに
1 「業の肯定」から「業の否定」へ:不条理からの解放
  ――「柳田格之進」
2 笑いの破壊力:非合理という故郷
  ――「堀の内」
3 この世は夢ではないのか(1):多世界解釈と可能世界
  ――「芝浜」
4 この世は夢ではないのか(2):眠りと海と酒
  ――「鼠穴」「芝浜」
5 「私」とはなにか(1):私と世界
  ――「粗忽長屋」
6 「私」とはなにか(2):二人の私
  ――「粗忽長屋」
7 「私」とはなにか(3):イヌであるとはどのようなことか
  ――「元犬」
8 「顔」について:善悪の彼方へ 
  ――「一眼国」
9 恋愛とみかん(1):固有名詞に恋をする 
  ――「崇徳院」
10 恋愛とみかん(2):結晶作用 
  ――「崇徳院」
11 恋愛とみかん(3):恋の三角形 
  ――「お直し」
12 恋愛とみかん(4):果物超越譚 
  ――「千両みかん」
13 死について(1):輪廻する魂 
  ――「もう半分」
14 死について(2):一人称の死 
  ――「死神」
15 死について(3):幽霊のいる場所 
  ――「三年目」
16 死について(4):パラドックスとブラックホール 
  ――「あたま山」
 付録 本編で取り上げられなかった「哲学噺」と、傑作落語本
 あとがき

 

(四六判並製/272頁)

 

著者紹介


中村 昇(なかむら のぼる)

1958年長崎県佐世保市生まれ。中央大学文学部教授。中学のときに小林秀雄に、19歳のときに松岡正剛にであう。師事したのは、中学・高校の恩師である詩人・徳重敏寛、暗黒舞踏の創始者・土方巽、そして哲学者・木田元である。
著訳書に、『いかにしてわたしは哲学のにめりこんだのか』(春秋社)、『小林秀雄とウィトゲンシュタイン』(春風社)、『ホワイトヘッドの哲学』(講談社選書メチエ)、『ウィトゲンシュタイン ネクタイをしない哲学者』(白水社)、『ベルクソン=時間と空間の哲学』(講談社選書メチエ)、『ウィトゲンシュタイン『哲学探究』入門』(教育評論社)、『どこでもないところからの眺め』(トマス・ネーゲル、共訳、春秋社)など。

 

発売日

2018年7月25日