内容紹介
曲った手で 水をすくう
こぼれても こぼれても
みたされる水の
はげしさに
いつも なみなみと
生命の水は手の中にある
指は曲っていても
天をさすには少しの不自由も感じない
(「曲った手で」)
大きな困難の中にあって、生きることの喜びと光を求め続け、言葉を紡ぎ続けた伝説の詩人。
キリスト教信仰に裏打ちされたひたむきで純粋なことばたち。長く入手困難だった詩作品が、ついによみがえる。
これまでに刊行された二冊の詩集『志樹逸馬詩集』(方向社、1960年)、『島の四季』(編集工房ノア、1984年)に収録された全詩に加え、遺稿ノートから未公刊の詩を選んで編む。
【付録】投げ込み栞(若松英輔、込山志保子執筆、8ページ)
【もくじ】
はじめに(若松英輔)
1 詩集『島の四季』
2 詩集『志樹逸馬詩集』
3 未公刊詩選
4 志樹逸馬の作品と生涯(若松英輔)
5 年譜
6 書誌
【動画】
若松英輔さん講演「志樹逸馬の詩と出会う」
(ハンセン病資料館・ギャラリー展「没後60年・志樹逸馬展」)
(四六判並製/288頁)