聞き書き・関東大震災

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内容紹介

〈 100年前の9月1日、町は大きく揺れた 〉

そこに暮らす人びとは、どのように生き延び、記憶したのか。
人びとの声と文学者などの日記から振り返る関東大震災。

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「災害は忘れた頃にやってくる」── 寺田寅彦

「東京の火災いよいよ猛に、一望大いなる熔鉱炉を見るが如し。田端、日暮里、渡辺町等の人人、路上に椅子を据え畳を敷き、屋外に眠らんとするもの少からず」── 芥川龍之介

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〈 1923年に起きた関東大震災から100年 〉

著者が地域雑誌『谷根千』を始めたころ、町にはまだ震災を体験した人びとが多く残っていた。
それらの声とその界隈に住んでいた寺田寅彦、野上弥生子、宮本百合子、芥川龍之介、宇野浩二、宮武外骨らの日記など、膨大な資料を紐解き、関東大震災を振り返る。

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地震の当日、人々はどのように行動したのか、その後、記憶はどのように受け継がれているのか。
小さな声の集積は、大きな歴史では記述されない、もう一つの歴史でもある。
そこから何を学ぶことができるのだろうか。

《東京大学名誉教授、元東大地震研究所長の平田直氏のロングインタビュー掲載》

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【目次】
■序言………………災害は忘れた頃にやってくる──寺田寅彦

■第1章……………一九二三年九月一日
■第2章……………一夜が明けて、九月二日
  〈コラム〉……林芙美子──根津神社の野宿

■第3章……………本所から神田、浅草など
  〈コラム〉……藤沢清造──小説家のルポルタージュ

■第4章……………震災に乗じて殺された人びと
  〈コラム〉……宮武外骨──『震災画報』でいち早く知らせる

■第5章……………救援──被災者のために
  〈コラム〉……宮本百合子が二〇代の作家がつづった関東大震災

■第6章……………震災で変わった運命
■第7章……………帝都復興計画
■第8章……………今までの災害に学ぶこと
  〈コラム〉……永井荷風──江戸と明治の終わり

■正しく怖がり適切に備えるために──東京大学平田直名誉教授に聞く
■あとがき

 

(四六判並製/340頁)

 

著者紹介

森 まゆみ(もり・まゆみ)
1954年生まれ。中学生の時に大杉栄や伊藤野枝、林芙美子を知り、アナキズムに関心を持つ。大学卒業後、PR会社、出版社を経て、84年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊。聞き書きから、記憶を記録に替えてきた。
その中から『谷中スケッチブック』『不思議の町 根津』(ちくま文庫)が生まれ、その後『鷗外の坂』(芸術選奨文部大臣新人賞)、『彰義隊遺聞』(集英社文庫)、『「青鞜」の冒険』(集英社文庫、紫式部文学賞受賞)、『暗い時代の人々』『谷根千のイロハ』『聖子』(亜紀書房)、『子規の音』(新潮文庫)などを送り出している。
近著に『路上のポルトレ』(羽鳥書店)、『しごと放浪記』(集英社インターナショナル)、『京都府案内』(世界思想社)がある。数々の震災復興建築の保存にもかかわってきた。

 

発売日

2023年8月9日