内容紹介
〈 人が人への信頼を失ったら、その先には何が残るっていうの? 〉
●洗練された文体と神秘的なスタイルで注目される韓国文学の新鋭による短編集。
〇夢と現実が交差する迷路のような物語は、私たちの目を世界の本質へと向ける。
●共生の感覚を回復させる魅惑的な8つの物語。
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「わからないかな?これが普通なんだという確信、もしくはこれが普通であるべきだと信じて疑わないこと、それこそが本当の「悪」なんだよ」
マイノリティへの憎悪やネットヘイトに満ちた世界を生きる今。
「人が人を助けねば」という現代社会に求められる声に耳をすました小説集。
洗練された文体で描く幻想的な物語をとおして、良かれと思った〝優しさ〟が往々にして他者を傷つける〝独善〟になってしまうような、現実世界の複雑さを見つめていく。
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【目次】
・あなたのいた風景の神と眠らぬ巨人
・アリス、アリスと呼べば
・海辺の迷路
・夜の潜泳
・チャンモ
・人が人を助けねば
・夜は輝く一つの石
・メゾと近似
・あとがき
・訳者あとがき
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(四六判並製/288頁)
著者紹介
ウ・ダヨン
1990年ソウル生まれ。明知大学校文芸創作科に在学中の2014年に短編「三人」が季刊文芸誌『世界の文学』の新人賞を受賞し、デビュー。2018年に初の短編集『夜の兆候と恋人たち』を出版。2019年度韓国文化芸術委員会の文学ナヌム選定図書に選ばれる。2020年に本書『アリス、アリスと呼べば』を刊行。収録作の「チャンモ」は現代文学賞の候補作となり、韓英のバイリンガル・エディションで出版された。その他の著作として中編『北海で』(2021年)、『優しい非人間――メタヒューマンと和気あいあいおしゃべり』(2023年)、短編集『しかし誰かはもっと黒い夜を望む』(2023年)がある。洗練された文体と神秘的なスタイルで注目される新進気鋭の作家。
ユン・ジヨン
1982年ソウル生まれ。翻訳家、淑明女子大学校教授(日本近現代文学)。延世大学校英語英文学科、日本学連繫専攻卒業。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻修士・博士号取得。韓国文学翻訳院日本語特別課程及びアトリエ課程修了。訳書に『わたしたちが光の速さで進めないなら』『この世界からは出ていくけれど』(キム・チョヨプ、共訳、早川書房)、『B舎監とラブレター』(韓国文学の源流 短編選1、共訳、書肆侃侃房)。
発売日
2024年3月23日